エドワーズ上空で、パイロットは自機だけを操っていたのではない
10月初旬、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地上空。F-22ラプター(F-22 Raptor)の操縦席に座ったパイロットは、自分の戦闘機だけを操っていたのではなかった。隣を並んで飛ぶ無人機YFQ-44Aフューリー(YFQ-44A Fury)に戦術指示を送り、フューリーの自律飛行ソフトウエアはその指示を理解して実行した。操縦桿を握る手が、2機の戦闘機にまたがっていたようなものだ。
米空軍とAnduril Industriesは10月16日、この場面を共同で発表した。第412試験飛行団、第422試験評価飛行隊、第309ソフトウエア技術群が参加した今回の実証で、F-22は量産前段階のYFQ-44Aに命令を出した初の有人戦闘機となった。米空軍は、この機体を含む協働戦闘機(CCA)を2032年までに500機確保する目標を掲げており、今年6月にはAndurilとGeneral Atomicsに計150機規模の初期量産契約を発注した。目標単価は1機3000万ドル未満で、約8200万ドルのF-35Aの3分の1程度だ。
しかし、この光景に見覚えはないだろうか。実は、ほとんど同じ場面が1年前にはすでに空に現れていた。
「世界初」という冠の有効期限
表面上、今回の発表はすっきりした新記録に見える。Andurilの自律航空戦力担当副社長マーク・シュシュナール氏は、こう語った。「米空軍のCCAプログラムは、世界で最も速く進展し、最も成熟したCCAプログラムであり、最初に実戦機を配備することになる」。間違いとは言えない。ただし「初」という言葉の前には、見えない但し書きが付いている。
実際、F-22が空中で無人機を統制するというコンセプト自体は、2025年10月21日にネバダ試験訓練区域で、競合するGeneral Atomicsが先に実証していた。このときはCCAの実機ではなく、代替機としてMQ-20アベンジャーを使用。タブレット型のパイロット用インターフェースと、F-22のGRACEモジュール、L3HarrisのBANSHEEデータリンクおよびPantera無線機を組み合わせた。当時、General Atomicsの広報担当者は「F-22が有人・無人協同作戦で中心的な役割を果たすことはすでに分かっている。General Atomicsは今、それを始めるうえで他に類を見ない立場にある」と述べていた。今回、Anduril側がTWZに直接確認した表現も、「F-22と量産前段階のYFQ-44A」としては初めてという、条件付きの「初」だった。
先月、フューリーがF-35と編隊飛行した際も、F-35は命令を出す側ではなかった。つまり今回の実証は、1機のF-22が1機のフューリーを統制した、規模としてはささやかな実験である。複数のCCAを同時に指揮する能力については、まだ数値が公表されていない。

明かされなかった操縦席
発表文が見せているのは成功談だ。パイロットが指示を出し、ドローンがそれを理解したという結果だけが前面に出ている。しかし、本当に重要な問い――F-22の操縦席が実際にどのような構成になっていたのか――については、双方とも明らかにしていない。単座戦闘機のパイロットが自身の戦闘任務を遂行しながら、同時に別の戦闘機を指揮するという負荷をどう処理するのか。その答えは今回の発表にはない。
過去の米空軍の予算文書は、F-22にドローン制御用のタブレットやケーブル、関連機材を統合する必要性に言及していた。1年前のGeneral Atomicsによる実証では、タブレット型PVIとデータリンクモジュールの構成が比較的詳しく公開されていた。今回は、そうしたディテールが静かに消えている。成功を示しながら、その成功がパイロットに何を要求するのかは隠す。宣伝映像としては、よくある脚色だ。
この非公開領域は、米国だけの課題ではない。韓国のKAIはKF-21ボラメを基盤とする次世代空中戦闘システム(NACS)を、韓国航空宇宙産業(KAL-ASDではなく大韓航空)はロイヤル・ウイングマン(KUS-LW)やLOWUS無人編隊機を通じて、同様のコックピットからドローンを統制する構造を設計している。両事業とも2027年ごろに実機を使ったパイロット統制試験を目標としているが、まだその段階には入っていない。米国が公開していないコックピットの細部こそ、後を追う側が最も知りたい部分だろう。ただし、明確にしておくべきことがある。今回の米国の実証が、韓国の事業の契約や日程を変更する段階にあるわけではない。
Andurilが狙うのはパイロットの信頼ではなく、次の契約だ
今回の発表が本当に届けたい相手は、戦場の敵ではなく、米空軍の予算担当者と競合するソフトウエア企業ではないか。そう考える根拠は2つある。
1つ目は、資金の流れだ。Andurilは今年6月、150機規模の生産契約を獲得した後も、CCA自律化ソフトウエアの主契約者の座をめぐって、General Atomics、Lockheed Martin、Northrop Grumman、Collins、Shield AIと競争を続けている。実機によってF-22の指揮能力を証明することは、「成熟度」を数字ではなく一つの映像で示す、最も安上がりな広告だ。2つ目は、時間である。今回の発表は、12月に予定されるエメラルド・フラッグ演習(Exercise Emerald Flag)を前に行われた。この演習では、フューリーとベンジェンス(FQ-42A Vengeance)が初めて大規模な戦力統合試験に臨む。その前に信頼を築いておく必要があるのは軍ではなく、ソフトウエア標準をめぐる競争で、まだ決定的な優位を確保できていない企業の側だ。
トロイ・マインク米空軍長官は、「今回の成果は、前例のない速さで戦力を戦闘員に届けるという共通の目標を産業界と共有し、歩調を合わせたときに何が可能になるかを示している」と述べた。ケン・ウィルスバック米空軍参謀総長も、「今回の飛行は、有人・無人チーミング(Manned-Unmanned Teaming)の力と、それが戦闘員にもたらす利点を示している」と続けた。どちらも間違った発言ではない。しかし、こうした言葉が向けられている聴衆は、戦場よりも、議会の予算公聴会や競合企業の投資家説明会に近いように見える。
私の見立てが間違っているとすれば、それは12月の演習で複数のCCAを同時に統制するという数字が、実際に公表されるからだろう。1機のF-22が1機のドローンを指揮する段階を越え、複数機を同時に指揮する場面がエメラルド・フラッグで確認されれば、今回の発表は宣伝ではなく、本格的な戦力化の出発点として読み直す必要がある。
注目点
- エメラルド・フラッグ演習の結果:2026年12月、フューリーとベンジェンスが初めて大規模な戦力統合試験に臨む。ここでCCAが「実戦戦力」と呼べる信頼性を示すかどうかが分岐点になる。
- F-22による複数CCAの同時統制実証の有無:2027年以前と見込まれており、1機の有人機が何機まで指揮できるのかが初めて数字で明らかになる時期だ。
- CCA自律化ソフトウエアの主契約者決定:数カ月以内と見込まれている。Anduril、Collins、Shield AIの競争で誰が勝つかが、今回の実証の実質的な受益者を明らかにする。
よくある質問
今回の実証は本当に世界初なのか?
実際のCCA機体であるYFQ-44Aを使ったものとしては初めてだが、F-22が無人機を統制するというコンセプト自体は、2025年10月21日にGeneral AtomicsがMQ-20アベンジャーを使って先に実証している。Andurilも、「F-22と量産前段階のYFQ-44A」の組み合わせとしては初めてだと限定して説明している。
米空軍のCCA確保目標はどの程度なのか?
インクリメント1では、2032年までに500機を目標としており、2026年6月にはAndurilとGeneral Atomicsに150機規模の初期量産契約を発注した。その後、インクリメント2でさらに2350機を調達するとの推計も出ている。
韓国の類似事業はどこまで進んでいるのか?
KAIはKF-21を基盤とする次世代空中戦闘システム(NACS)を、大韓航空はロイヤル・ウイングマン(KUS-LW)とLOWUS無人編隊機を推進しており、2027年ごろに実機を使ったパイロット統制試験を目標としている。ただし、今回の米国の実証と直接結びつく契約や日程変更は確認されていない。
代表写真――米空軍・USAF
本文写真――米空軍・USAF
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