シンガポール海軍、3番艦MRCVのキール据え付け
シンガポール海軍が進める次世代多目的戦闘艦(MRCV)計画が、3番艦のキール据え付けを節目に次の段階へ進んだ。シンガポール海軍の発表によると、STエンジニアリングは2026年9月3日、同社の海洋部門で3番艦MRCVのキール据え付け式を開催した。
式典はシンガポール国防省のジョセフ・リョン事務次官が主催し、シンガポール海軍トップのショーン・ワット少将をはじめ、海軍、国防科学技術庁(DSTA)、STエンジニアリングの関係者が出席した。
6隻建造計画の3つ目の節目
シンガポールはSTエンジニアリングとともに、MRCVを計6隻建造している。今回のキール据え付けは、1番艦「ビクトリー(Victory)」、2番艦「バラー(Valour)」に続き、3番艦の本格的な船体建造が始まったことを意味する。
STエンジニアリングによると、各艦は異なる建造段階で同時に作業が進められている。2番艦バラーは2026年7月に進水しており、MRCV部隊は2028年からシンガポール海軍への引き渡しが順次始まる予定だ。これは、Singapore Navy Launches ST Engineering’s Second MRCVで報じられた計画が継続して進展していることを示している。
無人システムの運用を見据えた次世代戦闘艦
MRCVは従来の戦闘艦の役割を拡張し、無人航空機や無人水上艇、無人潜水システムなどを運用する「無人システム母艦」として設計されている。シンガポール海軍は、限られた乗組員でより広い海域の監視・偵察や海上作戦を行う構想だ。
シンガポール国防省の発表によれば、MRCVは任務モジュールを活用し、高強度の海上作戦から人道支援、災害救援まで幅広い任務に対応できる。コンテナ型装備や医療設備を搭載できる設計で、航続距離は約7,000海里、21日を超える連続作戦能力も備える予定だ。こうした無人システム運用の概念は、中国、大型無人潜水艦向けの母艦を建造中で取り上げられた類似戦力とも重なり、世界各国で進む海軍近代化の潮流を反映している。
またMRCVには、乗組員100人未満で運用できるよう、自動化と統合運用の考え方が取り入れられている。艦橋で当直にあたる人員を従来方式より削減し、機関制御システムも自動化することで、人員運用の効率化を図る方向で開発が進められている。
老朽化したミサイル・コルベットを更新…進むシンガポール海軍の近代化
今回の計画は、1989年から運用されてきたシンガポール海軍のビクトリー級ミサイル・コルベット6隻を段階的に更新する中核的な戦力近代化事業だ。MRCVは従来艦の任務を引き継ぐと同時に、無人システムとモジュール式装備を組み合わせ、作戦の柔軟性を高めることに重点を置いている。
海上交通路と港湾インフラへの依存度が高いシンガポールにとって、シーレーンの防護は海軍の主要任務の一つだ。MRCVの導入は、海上監視・管制能力を強化し、変化する安全保障環境に対応できる戦力構成を整える取り組みと評価される。海軍、ロボット・自律システム戦闘開発センター(RASWDC)を発足といった海軍の自動化・無人システム開発とも連動しており、世界的な海軍近代化の文脈で捉えることができる。
シンガポールの防衛・造船能力を示す計画
今回の建造計画は、シンガポールが設計、建造、システム統合を含む海軍艦艇の開発能力を蓄積していることを示す事例でもある。シンガポール海軍とDSTA、STエンジニアリングは、海外の技術パートナーと協力しながらMRCVの設計とシステム統合を進めている。
3番艦のキール据え付けは、6隻建造計画が予定どおり進んでいることを示す、建造上の重要な段階だ。今後、進水、海上試験、システム統合を経てMRCV部隊が順次実戦配備されれば、シンガポール海軍の無人システム運用能力と長期的な海上作戦能力は一段と強化される見通しだ。
よくある質問(FAQ)
シンガポールの3番艦MRCVのキール据え付け式はいつ開催されましたか?
2026年9月3日にSTエンジニアリングの海洋部門で開催されました。
MRCVは何隻建造されますか?
シンガポール海軍向けに計6隻が建造されています。
MRCVの主な任務は何ですか?
海上作戦、シーレーン防護、無人システムの運用、人道支援、災害救援など、幅広い任務を担うよう設計されています。
MRCVはどのような無人システムを運用しますか?
無人航空機、無人水上艇、無人潜水システムなど、さまざまな無人プラットフォームの運用母艦となる予定です。
シンガポール海軍へのMRCVの引き渡しはいつから始まりますか?
シンガポール海軍へのMRCVの引き渡しは、2028年から順次始まる予定です。